走行しながらの暖機運転

次は走行しながらの暖機運転についてです。近年ではこちらの方が推奨される場合が多くなっています。
自動車やオートバイの暖機運転は、停車アイドリング状態ではなく、負荷や回転数を抑えた走行で行うわけで、「走行暖機」とも呼ばれます。当然ですが、停車状態での暖機運転よりも省燃費となります。冷間時は燃料供給量を増やす補正が自動的に行なわれているので、通常のアイドリングストップよりも効果があります。
エンジンの高性能化はどんどん進み、負荷や回転数を抑えた状態でも走行可能な車両が多いわけですが、アイドリング程度のエンジン回転数だとオイルポンプの回転数も低くなります。まだ暖まっていない粘度の高いオイルでは潤滑経路の末端まで圧送できない可能性もあります。始動直後の油圧計は高い値になりますが、それは計測部位がポンプの直後に配置されているからで、クランクシャフト、カムシャフトはまだ油圧不足状態である可能性があるのです。ていねいな運転が必要です。
また、冷間時はピストンクリアランスが大きくなった状態で、その分、クランクケースへの未燃焼ガスの漏出も多くなります。従って、オイルにガソリンが混入して潤滑性能の低下を招く可能性があり、できるだけ早くにエンジンを暖め、適正なクリアランスにするというのも、走行暖機の目的です。
エンジン以外でも、ミッション(変速機)、サスペンション、タイヤ等も暖機を必要とする部品ですが、これらは停車状態の暖気運転では全く暖まりません。